HannahLee's blog

脱藩☆女子!〜海外で働いている日本人女子の赤裸々ワーク・アンド・ライフ

女の道はけもの道。けもの道、楽しいよ!

女友達から仕事の相談をうけ、思いました。直線的にキャリアを構築できない状況があるからこそ、いろんな景色が見えて人間的にも人生も豊かになるってこと、あるよねー、と。まあ、どんな道を行くかは、好みもあるでしょう。ランニングに例えるならば、ロードでタイムにこだわる走り方もあるけど、トレイルでふかふかした落ち葉の上を走ったり、でこぼこ道を走ったりするのもありだよな、と。転んだりもするけど。迷子になったりもするけど。それもまた醍醐味というか。がんばれ、友達!いっしょにがんばろう、友達!

 

これとはちょっとずれるのですが…

 

つい先日、ちきりんさんのブログ(『普通の門とピンクの門』http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20140103)で、働くことと女子であることについての記事を読みました。女子と男子では、社会に入ってから、特に働くという面において、見える風景が違って来る、というお話。女の子は、社会に出たらがっつり差別されるし、その上で用意されている別のルート(ピンクの門から入ります)があるんだよね、というところからの諸々です。

 

このエントリー、その感想をつぶやいた読者のツイッター(翌日の『2014年の私たち』がそのまとめですhttp://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20140105)を読んでわかったのは、日本社会、日本の企業で働いていると、出産というのが、彼女の言う「ピンクの門」に行くかどうかの分かれ道である、ということになってるらしい、ということ。

 

面白かった。面白かったんですが、

 

でも、その前提の設定がどうかな?

 

って思いました。

 

女性が職業についているかどうか、そしてどういう職業に就いてるかということより、パートナーである男性が日本の企業社会にいるかどうか、の影響が強いと思う。

 

エントリーも、読者の感想の発想も、まず根本的なところ=子供を産み、育てるのは女性がやること、そして、(女性が)仕事と子育てを両立することは困難であること、という認識、というか思い込み、があるみたい。なんで子育てが自動的に女性とセットになっているのかな???

 

それと、私は、自分の母も含め、出産によって仕事や職業人生が途絶える、ということを、最近まで見たことがなかったので、出産で女性の職業人生が途絶えがちになるっていうことが、ちきりんさんのブログやその読者の間の議論の前提になってることに、ちょっとびっくりしております。出産で女性の職業人生が途切れるというのは、日本(とアメリカ)に特徴的なことではないのかなー?

 

私が今まで海外で働いてきた、働いている組織では、例えば以下のことが、ほんとに日常だったので、それを特別、と思うことはなかったです。日本でも、母親の職場はまったくもって男女平等だったし、こちらのほうが、私の個人的人生では「普通」で「当たり前」だった。


例えば。

◯上司(40代半ばの男性、当時私が所属していた組織のNo2)が、職場に娘(2歳)を連れて来る。奥さんが忙しいもしくは具合が悪かったり、お手伝いさんやベビーシッターの都合がつかなかったりして。国際会議も彼が司会してたけど、子供って、意外におとなしくしてるものです。私とか同僚も、それとなく目を配っているし。特に困ったことはなし。

 

◯上司(40代半ばの女性、シングルマザー)は子供の送り迎えがあるので、朝は7時に来て、どんなに仕事が残っていようとも、4時には帰宅。周りも全くそれにたいして違和感を感じていない。ミーティングも、午前中や午後の早い時間にまとめてやる(=だらだらしている時間はないから、会議も効率的にすすむ)。

 

◯同僚、友人の女子(30代から40代初め)、妊娠したら、本人の体調次第で有給休暇、自宅勤務、職場での勤務など、様々。オフィスにはお腹がおっきい同僚いっぱい。で、気付いたら産んで職場戻って来てるし。(今の私のオフィスの隣は、一時期搾乳室でした。)ちなみに、30代前半、20代で産んでる人って周りで見たことない。

 

◯同僚、友人の男子(30代後半から50代前半)、パートナー、奥さんが出産したら、有給の育児休暇をとる。というか、とってないと周りにひかれる。「あなた、奥さん/彼女出産したのになんでオフィスにいるの?家にいてやることあるだろう?」と。

 

そもそも、これらのことって、特別である必要があるでしょうか?産むということは本来自然なことで、それが、自然なまま、職場でも存在していた、という感じ。

 

あと、ちきりんさんのブログの同じ記事には、専業主婦になるのが夢、っていう女子学生の話も出て来ます。これは、出産してピンクの道に行くのか迫られるのではなく、最初からピンクの道を行くパターンですね。私も、このブログに出て来るのと似たような会話を、日本の女子大生さんたちとしたことがあるのを思い出しました。

 

海外にあるうちの職場に見学に来た、とある地方の私立大学2、3年生の学生さん7、8名に、私や別の日本人女性(当時うちの組織のトップ)のオフィスを案内した時のこと。一通りオフィスを見た後で、「生まれて初めて、こうやって女の人が仕事をしているのを見ました」と言われ、心底びっくりしました。将来はどんなことをされたいんですか?と聞いたら、「お嫁さんです」「結婚して専業主婦になりたいです」と。「女性は就職が難しいので」って。「就職しても男性の方が稼ぎがいいだろうから」って。まあなんて斬新なお考え、と。

 

「どんな夢を見るのも自由だけれど、あなたのその夢には現実味がないしリスクヘッジもできてませんね、なぜなら、

 

1)専業主婦のパートナーを養うほどの経済力を持った男性は全労働人口から見ても数パーセントに満たないです(年収800万以上は3.8%)

2)その中における適齢期の男性の割合は更に下がります

3)更にその中でアベイラブルな人といったら、ほぼいないか、既に他の誰かに予約されているでしょう

4)そして、あなた達の女子的スペックが、それでもわずかに残っている男性に見合うとは思えない

5)かつ、この不安定な雇用状況&どうなるか分からない人生では、万が一専業主婦可という旦那さんと家庭を持ったとしても、いつ何時旦那さんが働けなくなるかわからないですね。

 

なので、現実的選択、そしてリスクヘッジという意味でも、自分のお仕事を持つことをお勧めします〜」、

 

というお話をした覚えがあります。半泣きだったけど、学生の女の子さん達。ま、本番の人生で泣き見るよりはいいんじゃないかしら?ってことで。

 

ちなみに、「小さい頃、周りで専業主婦のお母さんがいる友達っていなかった、周りのお母さんはみんな働いてた」って話を日本人の20代の男の子にしたら、「それはあなたの周りがハイソな教育水準の高い人達ばかりだったからじゃないか」と言われたこともありましたが、違います。下町で、専業主婦でいられるような恵まれた家計の家が少なかったからです。フルタイムの人もいたし、パートに出たり、嫁ぎ先の工場で事務やったり、作業したり。そう言ったら、お母様が専業主婦の彼、ビックリしてましたが。「そんな世界があるのか!」って。ビックリされてこっちがビックリだわ。

 

女子のスペックというの、私もそういうコンセプトを知った当初は「んまあ!」って憤慨したけど、確かに、(男社会のメガネから見た)女としての武器をず〜〜〜っと磨き上げている、「女子的偏差値」の高い人っていますから。同じ女子でも、小さな頃からいわゆる「社会のしくみ」「世間」というやつを冷静に観察してて、日本の社会に女として生まれた自分が一番「成功」するキャリアトラックはどれ、っていうのを見極めて、早くは中学校からそっちのキャリアトラック、「女」の道(含む「ピンクの門」から入る方)で研鑽を積んでいる人達、いっぱいいますから。私は30代に入ってから、あー、そういう道もあったんだー(自分は選ばないけど)、と気付いたものです。

 

まあ、どっちの道、どんな道を選んでも、道は道ですからね。どっちを選ぶのも自由だけど、たまにちょっと高いところにのぼって、この山全体ではどんな道があるのかな〜っていろいろ選択肢を探してみるのも、いいんじゃないかなって思います。