HannahLee's blog

脱藩☆女子!〜海外で働いている日本人女子の赤裸々ワーク・アンド・ライフ

エレン。24歳。元、将軍。

昨夜、一緒にリベリア出張に来ている同僚の親友のお家へお呼ばれした。お呼ばれされた先は、エレンという、24歳の女の子のお家。エレンというのは、もちろん仮名。 

実は彼女、15歳くらいの時に戦争が始まって、自宅が襲撃され、目の前でゲリラに両親を殺され、自分も6人の兵士にレイプされ、その後難民で隣国へ逃げたが国に戻って武器を取り、最後には将軍にまでなった人。 

とてもこういうバックグラウンドがあるようには見えない、すごくかわいい、一見普通の女の子。(ただ、おみやげに持って行った50キロの米袋をひょいっと頭の上に担いでいたが・・・) 

戦争当時はブラック・ダイアモンドと呼ばれてすごく有名だったらしい。一緒に行った運転手さんが、彼女の顔を見てびっくりしていた。本人は目立ちたくないので、なるべく表に出ないようにしているそうだ。 

戦争が終わってからは、武装解除を経て、自分の殺された友達の子供、自分の子供2人など、総勢9人を面倒見ている。失業率80%のこの国で、学齢期に学校に行く機会を失った彼女はもちろん無職だが、何とかしのいでいる。なのに、私たちのためにフフ(カッサバで作ったおモチみたいなの)とお魚のスープを用意していてくれた。 

ついこないだ高校の卒業資格を取ったそうで、次の学校にすすみたいと思っているところ。私の同僚は彼女について本を書いていている。昨夜は、その本に載せる写真を一緒に選んだ。 

戦争の前の写真、迷彩服を来てる妊婦姿の写真、戦争中病気でみすぼらしい病院(とも言えない)のベッドで横たわり死にそうになっていた頃の写真、一緒に戦って殺されちゃった女の子たちの写真、武装解除した時の写真・・・いろいろあった。 

死んだ女の子たちは、明るい表情の子もいれば、死んだ目をした子もいた。同じ部隊にいた子達は、ほとんど死んだようだ。生き延びた子と一緒に武装解除に行ったそうだが、その数は7、8人。 

戦争なんて全く意味がない、ってことを言いたい、とのこと。そのために、この本のプロジェクトも同意したと言っていた。くしくも今日は日本では終戦記念日でしたね。 

今でも、というか、今になって、戦争のころの悪夢を見て夜暴れると言っていた。自分がレイプされそうになっていて、必死に抵抗しているところとか。この国は、彼女だけじゃなく、国民のほとんどがこうしたトラウマを経験している。そして、人口300万人のこの国で、精神分析医はたったの1人しかいない。

(初出:2007年8月)